における石原発言など
】
▲東京都の〈首長〉〔酋長!ではない〕,つまり東京都知事という「御山の大将」になれた石原慎太郎は,その後も『本来の資質』を存分に発揮しつつあり,問題言動にこと欠かない。いかにも人騒がせ,とてもやかましい人物という印象は否みがたい。
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★ 石原慎太郎に親しい人物,佐々淳行(さっさ・あつゆき)へのリンクページ |
★ 石原慎太郎に対する入江 昭ハーバード大学教授の意見への「ジャンプ」 |
★ 石原慎太郎が「都知事を8年やって日本を変える」といっていた『問題性』への「ジャンプ」 |
★ ダボス会議〔世界賢人会議〕に出席した石原慎太郎の〈駄々っ子ぶり〉への「ジャンプ」 |
★ 他党をハイエナ呼ばわりする石原慎太郎の〈品性〉への「ジャンブ」 |
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・〔石原の信条でもある〕力に頼る強国への道が,内においては国際競争力を強めるための効率によって人間を判断し,その効率を上げることに役立たない障害者,高齢者などは「生きるに値しない者」(ナチス当時に用いられた範疇)とされがちになる。外に対しては,弱い国は弱肉強食の原理にしたがうべきものとされる(〔あとがき〕311頁。同上)。 →これは,上述のb),e)である。 |
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◎ 藤原 彰・森田俊男編『近現代史の真実は何か』大月書店,1996年,205頁。 |
・日本は第2次世界大戦終了後,戦争責任どころか戦後責任さえ十分はたしていないと,周辺諸国からみられている。「英霊」となってしまった者もそうでない者も,例外なく,庶民的次元でそうした責任問題に多少はかかわっている。 ・石原は,自分の得意でない論点からはさっさと逃げる傾向がある。それでいて,つまり,逃げた論点にむかってさらに,無責任なことを勝手にいい放つ性癖がある。非常に残念なことだが,そういう姑息な常套手段をつかいたがる彼が,国際時代の「いま」に生きていける資質をもつ政治家とは思えない。 ・「いま」だからこそ,議論できる・すべきなのに,これに自信のない彼は,「いま」の問題から一目散に逃亡する似非知識人,落第「知事」である。 ・われわれの現在=いまは,過去に逃げることはできない,むしろ未来に生きるほかない。 ・戦争〔戦闘や戦場〕で死んだ人々(兵士たち)を「英霊」と称して靖国神社に祀ることでもちあげ,死んで国に帰ってきても〔本当はこのところからは「いま」生きている人間に対していわれるのであるが〕元気よく再び戦争に出ていくのだよと強制するのが,「靖国の思想」である。 ・明治以来,日本の戦争経歴は,アジア侵略の歴史として以外描くことができない。 ・〈侵略〉という表現とは無縁の方途において,「英霊」なる概念は規定されている。 ・最近,岩波書店から復刻された,児玉隆也著・桑原甲子雄〔写真〕『一銭五厘たちの横町』(岩波現代文庫,2000年4月)は,戦争にいって死んでも「英霊」となって国に帰れると励まされ,無条件の〈死〉を予定させられて戦場にむかわされた,日本庶民の正直な気持を報告している。3カ所引用する。 |
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石原「三国人」発言との比較 |
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・在日外国人問題の過去の歴史をよくしらず,ほとんど勉強もしていない。 |
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・在日外国人の現状さえ,ろくに理解していない。 |
c) 他人に簡単にそそのかされ煽られるかたちで,つまり人から聞いた話を軽々に採用したうえで,早とちり的に物事を判断し,決めつけている。このときは,スポーツ新聞記者がデマ:八百長(?)の発信源だが,これを単純に信じこまされていた。 |
・警察庁幹部からうけた説明,外国人犯罪統計に関する歪曲的・悪意的な解釈=誇張されたウソを鵜呑みにする粗忽さ,迂闊さ。 |
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・不法滞在「三国人・外国人」が騒擾を惹起させるのだという,まったく根拠のないデッチ上げ,いつもの扇動的言辞を,みずから発信するというサタン的行為。 |
e) そして,世の中をさんざん騒がせておきながら,その後「他意はなかった」と弁明し,「それで了解してほしい」と,お手軽に済まそうとしていた。 |
・批判をうけてもひらきなおり,すべて他人〔共同通信社記者の報道記事〕のせいにするゴマカシ,そして鼻につく驕慢で独りよがりの,狷介な態度。 |
・見出し冒頭の文章 |
◆伊豆諸島・三宅島の噴火災害が深刻さを増すなか,東京都は3日,総合防災訓練「ビックレスキュー東京2000」を実施する。石原慎太郎知事が意欲を燃やした都独自の訓練で,空前の約7千7百人の自衛隊員を動員,政府も巻きこんだ大がかりなものだ。都心での大規模災害に備えた「大事な訓練」との位置づけだが,自衛隊を「陸海軍」とよび,「三国人」発言で物議を醸した石原知事主導の訓練に,防衛庁さえ賛否の声が交錯している。 | |
・都議会で都知事発言 | ◆「大都市東京を舞台に都政史上,最大規模の訓練を実施いたします」 | |
・どういう訓練内容か | ◆実現しなかったが,知事は自衛隊のパラシュート降下訓練をしたい,といった。 | 【疑問】なんのためにパラシュート部隊が災害訓練に必要となるのか? パラシュート部隊の軍事的機能はなにか? |
◆ヘリコプターによる編隊飛行は,大部分が立川基地から飛び立って,知事が視察中の銀座海上の上空を飛び,もどるだけ。 | 【疑問】なんのために編隊飛行をさせるのか? | |
◆浮橋をかけて江戸川をわたる訓練は,参加者約1400人のうち自衛隊員以外は27人。 | 【疑問】住民のための災害訓練でなく,自衛隊員訓練のための軍事演習か? | |
◆政府はこの訓練で防衛庁の中央指揮所で関係閣僚会議をひらき,森 喜朗首相が指揮を執る。有事のさいは事実上の作戦本部となるこの部屋で,首相が指揮をとるのははじめて。 | 【疑問】ほとんど軍事作戦の感覚である。都の防災訓練なのに,日本国の首相まで登場する。もと青嵐会のメンバーであった石原と森である。まさか一緒にはしゃいでいるのではあるまいや。 | |
◆自衛隊がどのような指揮系統で活動し,東京都とどう連携するのかが明らかでない。 | 【疑問】訓練の理念目的・手段方法などが曖昧模糊としており,なにか締まりもなく,関係機関の調整不足がみえみえである。 | |
◆東京都と自衛隊の関係 | 【疑問】治安出動を想定したい都知事 v.s.多少は悪のり気味の自衛隊。 | |
・どういう発想か | ◆今回の災害訓練のアイデア源は中曾根康弘元首相,それを石原が小渕恵三前首相にもちかけて同意をとりつけた。 | 【疑問】石原は銀座に戦車を走らせたいと考えていた。これはほとんど治安出動的発想である。災害訓練に「戦車がどう活かせるのか」未知数だから。 |
・自衛隊内部の反応 | ★賛
成:この機会に自衛隊の必要性と実力を国民に理解してもらいたい。 ★反 対:本来は国防が主である。どうも世間は災害派遣に目が奪われすぎている。 ★疑 問:自衛隊が知事と一体と思われるのは困る。 ★隊員の声:本当は,石原知事は自衛隊を指揮してみたいじゃないか。 |
・石原慎太郎はきっと,ある自衛隊員の反応〔「石原知事は自衛隊を指揮してみたい!」〕にしめされているように,「こういう〈軍事訓練〉をやってみたかったのだよ」と思っているにちがいない。都民のみなさん,あれもこれもすべて,われわれの血税ですぞ。災害対策用の訓練・演習にするなら,都民各方面からの参加も求め,また警察・消防や民間諸団体との打ち合わせ,要望も十分聞いてからやったほうが,よほど実効的ではないか。 ・石原都知事は,アメリカ合衆国の各州が州兵を擁し,しかもその動員権限を知事がもっていることがうらやましいらしいのである。 【以上,2000年9月2日
脱稿】 ・海外出張〔8月28〜31日,マレーシア・クアラルンプール「アジア大都市ネットワーク21」〕を終えて帰国した石原都知事は,国際会議のあいまを惜しんでホテルのプールで泳いだことを指摘され,「休憩中にプールにはいってなにが問題なんだ。東京には災害対策のために副知事も局長もいる」,「泳いでいても三宅島住民のことは考えている」と応えた。
・つぎの文章は,三宅島から東京都あきる野市のある中学生の新聞投書である。 |
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・こういう譬えが適切かもしれない。東京都消防庁の最高責任者が東京都内でおおきな火災がおき,まだ鎮火できないでいる最中に,予定していた海外出張があるからといって,現場の指揮を副官たちにまかせて出かけた。出張先では,日程の合間をみてプールで水に親しんだ。この行動を東京の住民から指摘されて,消防庁では大火災「現場の陣頭指揮は副官たちがとっているから大丈夫」,最高責任者が「プールで泳いでいても火事のことは考えている」からそれで間に合うなどと応えたら,ひんしゅくを買うだけでなく,進退問題にまで発展すること必至である。 ・淡路‐神戸大震災のさい,当時首相だった村山富市社会党党首は,被災地を訪ねるのが遅れ,また政府の対応のまずさもあって,被災者たちからは不評を買った。一国の首相ですら,こうであるなら,都の島々で死者も出るようなおおきな地震が頻発し,火山活動で避難を余儀なくされる事態が発生しているのだから,東京都知事の海外出張はキャンセルして当然である。
・つまり,三宅島に直接視察に「いってどうにかなった」のは,都知事本人であった。いつもは人を軽侮したり,勝手にひらきなおったり,感情的につっぱったりすることの多いこの人であるけれども,そのわりには今回ずいぶん神妙な態度をみせ,同島の災害状況にいまさらながら驚いている表情だった。たしかこの人は,いま地震・火山災害がおきている地域を預かる最高責任者の東京都知事だったんですよね……。拙速もいいところ。 ・まわりは,まずなによりも〈東京都知事〉そのものの仕事をしている人間=「石原慎太郎」をみているのであって,〈石原慎太郎という個人〉に都知事の仕事をしてもらっている面からみているのではない。世界有数の大都市東京の知事の職位にある人間である。いつも公的業務と私的行為の生活空間を完全に分離し,覚悟して行動せよなどと強制はできない。しかしこのところは,東京都「伊豆諸島」に地震・火山災害が頻発し,島民たちは不安にさいなまれ,生活がなりたたない状態がつづいているのである。島民たちは都民である。こういうときくらい臨時に,自分特有の観念構造を一時保留して,行動のしかたをかえたほうがよいのではないか。 ・それにしても,今回における石原慎太郎東京都知事の行動パターンを,緊急事態時おける危機管理をひきうける地方自治体最高責任者=政治家のそれとして,真正面より明確に批判するマスコミ・言論機関が〔まだ〕ないことは不思議である。朝日新聞は,前出「声」欄に寄せられた中学生の意見を借り,都知事を婉曲に批判していたが,論説委員の1人くらいその点を容赦なく論難する者がいてもよいのではないか。 ・東京都民もおとなしく,ものわかりのいい人たちばかりのようである。伊豆諸島の住民にとっては非常事態なのだから,しばらくのあいだ石原都知事は,勤務時間帯は都庁で毎日必らず執務し,そのほかの時間は公邸で,なにがあっても常時に対応できるような勤務・生活の態勢にあるべきだ,そうやって,緊急事態の新たな発生に備えて直ちに対応できる態勢をととのえておくべきだと,注文を出すことくらい当然ではないのか。それとも,東京都〔関東平野を中心とする〕の住民は,今回における伊豆諸島の地震・噴火災害は他人事なのか? ・当たりまえの感覚からいって,緊急時だというのに海外へ出張し,現地でプールで泳ぐのもまたよしといって憚らないような知事は,もともと選挙でえらぶできではなかった。筆者がここでいっていることは,知事が海外に出張していけないとか,そのさいプールで泳ぐのがいけないとかいっているのではない。世間の基本的な,最低限の常識すらない人物が東京都の知事をやっている,その〈薄ら寒さ〉を指摘しているのである。 ・石原都知事は今年中に68歳になる人である。とてつもない重役をになっている人は,自分の健康にもとくに十分配慮しなければならない。プールにつかるのもいいが,自分の肉体に自信があるにしても旅先のことでもある,留意しすぎてなにも悪いことはない。 |
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→もっとも〔本人の弁によれば〕副知事もいるし,局長もいるからそれほど心配することはなく,大丈夫か! |
→えっ,それじゃあ,都知事の存在意義はどこにあるのでしょうか? 【以上,2000年9月3日 脱稿】 |
=自衛隊大量参加訓練へのひとこと= | |
★ 筆者注記:黒字は反対,青字はなお疑問あり,緑字は賛成,赤字は大いに賛成。 | |
主 婦:山本久美子(32) | ・自衛隊などふだんみられないのできてみた。全部お膳立てしてあり,実際にどれくらい役立つのでしょうか。 |
災害ボランティア:上赤欣丕(59) | ・地元の積み重ねと建設省や自衛隊の力が噛み合ってよかった。ただ実際には救助の多くが住民がになうだろう。 |
とび職:中村 孝吉(55) | ・金がかかるだろうけど,そごうや金融機関など,へんなところに税金をつかうよりいいよね。安心感にもつながる。 |
高校1年生:篠田 明奈(15) | ・自衛隊の大量動員ってすごいのかと思ったけど,トロトロ動いていた。でも,実際のときには役立つとは思う。 |
車いすの会メンバー柴田 肇子(59) | ・就寝中の地震だと足の不自由な私はベッドから動けず,自衛隊の活動に期待している。この機会はありがたい。 |
団体職員:森外 米蔵(48) | ・いまはもっと三宅島の災害対策をやったほうがいい。自衛隊のための訓練のようで,石原知事の意図がわからない。 |
無 職:石川 久子(72) | ・いざというとき足がすくんじゃ困るし,こんな訓練は必要。石原さんは頼りがいがあって,格好よかった。 |
弁護士:田中 隆(49) | ・消防や警察が中心になるべきなのに,自衛隊をまえに押しだしすぎ。治安維持の訓練かと疑念をもってしまう。 |
教 諭:楠見 宏義(61) | ・「三国人」はじめ,石原知事の一連の発言が気になる。この訓練をつうじて自衛隊はなにをするののか。 |
町内会副会長:島 辰寿(72) | ・自衛隊は心強いと実感。ただし若い人の参加がすくなく,実際の地震で年寄りばかりでなにができるか不安。 |
・さきに筆者は,東京都総合防災訓練「ビックレスキュー東京2000」における,石原知事の行動意識を真正面より批判する論説委員の1人くらい,朝日新聞にはいないのかと難詰した。今日〔9月5日〕の同紙朝刊は,実際にその訓練を取材した新聞記者たちが論評を書いている。それを紹介しよう(以下『朝日新聞』2000年9月5日朝刊)。 ・今回の防災訓練のなかで違和感があったのは,石原慎太郎都知事のはしゃぎぶりだった。気分が高揚したからだろうか,訓練の公表であえて「3軍」とよび自衛隊の隊員らをまえに,〔すでに関説した内容であるが〕「想定されているかもしれない外国からの侵犯に対しても,まず自らの力で自分を守るという気概をもたなければ,誰も本気で手を貸してくれない」,と強調した。 ・防災訓練に場違いなだけでなく,都知事という立場も忘れたかのような発言に,防衛庁でも「石原さんは自衛隊の長じゃないだろう」といった声が聞こえた。それにくらべ訓練にとりくんだ人たちは,知事よりずっと冷静に映った。石原知事にとってその〈落差〉の修正も問題点である。 ・筆者にいわせれば,このたび,自衛隊の大々的な参加もえて遂行できた東京都総合防災訓練「ビックレスキュー東京2000」は,石原慎太郎にとって非常にうれしく,興奮すべき成果である。この点は,石原の執筆した書物をひもといてみて,解釈しても得心のいくことである。国会議員時代はやりたくてもやれなかった〈こと〉を,都知事になってようやくなしとげらることができたゆえ,本人はものすごく高揚して当たりまえなのである。 ・石原は,東京都知事に当選したのちすぐに,今回の防災害訓練計画を披露していた。石原は,災害訓練を〔本人の主観では疑似的には〕軍事演習として実施できたことでもあり,知事としての本懐をとげた気分と推察される。大いに彼がはしゃいだ理由がわかる。 ・朝日新聞本社コラムニスト早野 透は,東京都総合防災訓練「ビックレスキュー東京2000」を「ビックレスキュー市街戦」と題した〈ポリティカ にっぽん〉欄を書いている。通常の災害対策用に準備した訓練内容はさておき,自衛隊の87式偵察警戒車は,いったいなにを偵察警戒するのか。ひょっとすると大地震に乗じて暴動をおこすのを偵察警戒するのか,と邪推する。いや邪推ではないかもしれない。 ・かつて石原は,雑誌のインタビューのなかで「それは同時に,北朝鮮とか中国に対するある意味での威圧になる。やるときは日本はすごいことをやるなっている。だから,せめて実戦に近い演習をしたい。相手は災害でも,ここでやるのは市街戦ですよ」(『Voice』1999年8月号)といっていた。とはいっても元冠ではあるまいに,朝鮮半島や中国の軍隊が上陸してくるとは,石原も考えているわけではないだろう。府中刑務所収容の2千人のうち4百人は外国人」などといってもいたから,やはり不法入国の外国人の騒擾を想定しているのだろうか。 ・石原知事が防災訓練に自衛隊を参加させたのは,必らずしも悪いことではない。ただし,それを外国への示威や在日外国人の問題とからめて,やたら力んでいるようにみえるのは滑稽である。防災は助け合いであり,市街戦でもなければ民族防衛戦でもない。阪神大震災のときだって外国人の多いところだったけれども,助け合いこそあれ暴動などはなかった。 ・以上,早野の論説はまともな議論をしているが,今回おこなわれた防災訓練「ビックレスキュー東京2000」では,東京都知事でしかない石原慎太郎が,防衛庁長官あるいは自衛隊「3軍」参謀幕僚長会議の議長の気分になったつもりで,すっかり舞い上がっている風景をみさせられたほうは,大いに白けるほかなかった。前述のように,防衛庁関係者から「石原は自衛隊の長じゃないはずだ」といった声が上がったのは,当然である。 ・防災訓練で舞い上がり,はしゃぐだけなら,まだいい。石原慎太郎都知事のこのところ言動は,生来の傲慢さを丸出しにしたものがめだつ。この人,自分の意にそわない者を指して,公然と「バカ」といい放つほど度胸がある。東京都が斡旋した三宅村の助役人事を村議会が否決した件に触れ,石原は「怒った。もう怒った,おまえらバカって。三宅島っていうのは本当にまとまりがない島だ」とまで,いってのけた。今回の防災訓練のおり,批判する人たちについては「わけもわからぬ左翼のバカどもが反対をとなえていたが,区民都民から孤立したかたちで冷笑を買っていた」と馬鹿よばわりし,性こりもなく罵倒をくりかえしていた。 ・中国の古典『史記』や『十八史略』に登場する「馬と鹿」の話を譬えに出すまでもなく,石原は都庁最高の長に座する者でありながら,他者に対する口調,とくに自分の考えに和しない人びとに対するものは,品位に欠けると形容するよりもむしろ,「上に立つ者としての」資格を疑わせるに十分である。「高貴なる者にともなう義務感」など,完璧に無縁の人物である。 ・すでに触れたようにこの人は,民主主義の原理で保証されている少数〔派〕の意見表明をする人々を「バカよばわり」した。→「ひねくれた奴もいる!」 とおとしめ,侮辱した。ところが,石原のすすめた助役人事を三宅村議会が否決された結果, 【 村議会の多数〔派〕×石原慎太郎の少数〔派〕】 の関係になった。したがってこんどは攻守所をかえて,「バカ」=「ひねくれた奴」とよばれなければならないのは〈石原〉のほうであった。もっとも,この人にかかると,多数派にむかっても馬鹿呼ばわりする。要するに,自分の考えに同調しない奴はみな「バカ」だと,この人は一蹴しようとする。民主主義の基本精神からはるか遠くにいってしまった,ひどく「ひねくれた」人である。 ・つぎのような対照にして,わかりやく考えてみよう。
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東京都における石原「支持」は多数派である。→石原を支持しない人々(少数)はバカである。 |
・三宅村の人々にいわせれば,村議会に勝手な助役候補をむりに押しつけようとした石原がむしろ,理不尽な行為をする「馬鹿」だったのである。 ・石原=自分に賛成するのは必らずしも多数の人々ではないし,また,反対する人が必らずしも少数であるわけでもない。そのときどきの事情によって,大勢は異なっている。他人の考えを聞く耳をもたない。自分の妄信する考え以外は,絶対許容しようとしない。唯我独尊,夜郎自大,無茶苦茶,支離滅裂,幼児性の抜けきれない粗暴な言動,粗野な考え。これが,もうすぐ古稀を迎えようとする人物=石原に顕著な特性である。しかも彼は,その成長過程をまだたどっているかのようにみえるから,始末に悪い。 ・東京都知事と三宅村議会との関係については,後日談がある。以下,2000年12月16日の新聞報道に関する記述である。 ・「三宅村議会は,東京都知事にバカと怒られた助役人事否決の件で,12月15日正副議長が辞職した」。三宅村議会は今年9月,都が斡旋した元都職員を助役とする人事案を否決,これをしった石原慎太郎都知事が「おまえらバカか」などと発言した出来事である(以下『朝日新聞』2000年12月16日朝刊参照)。 ・このホームページなどはすでに,自分の考えかたや立場にそぐわない発言や意見を「テロ」呼ばわりし決めつける,石原慎太郎流の〈悪質なクセ=常套手段〉を指摘した。実は,テロ的な語法を他者にむけてつかってきたのは,いつでも石原のほうであった。 ・東京都と三宅村議会との力関係で観察するに,三宅村と東京「都との関係が悪化したままでは,都がきちんと三宅村の面倒をみてくれないのではないか」,「議長が辞めれば関係が修復されるのではないか」と,三宅村がわはひどく心配するのである。 ・都知事という〈強者の立場〉に立った石原慎太郎が,地方行政管理上の力関係でみれば〈弱者の立場〉にある三宅村を恫喝,圧迫している構図が浮かぶ。 ・ちなみに,テロ‐イズム(テロリズム:terrorism)に関する適切な解説は,佐渡龍己『テロリズムとは何か』(文春文庫,2000年9月)の参照を乞いたい。石原慎太郎による「テロ」ということばの用法は,自他の識別を弁えておらず,多少のお世辞をこめていっても,文学的デタラメに満ちたものである。 ・terror の語源はラテン語 terreo であって,「脅かす・恐れさせる・不安にする」の意味のほかに,「脅かして追い払う・脅してやめさせる」である(佐渡,同書,47頁)。だから今回,東京都知事石原が三宅村議会におこなった言動はまさに,テロ的行為である。 【この段落のみ,2000年12月21日
脱稿】 ・後日談(続き)。−−三宅村議会はその後,石原都知事の推薦した助役人事を採決しなおして可決し,うけいれた。石原のテロ的言動がみごとに,功を奏したわけである。 ・石原慎太郎なる人物は,自身の口から「NO」ということばをくりだすのは大得意。だが,他者から自分にむけて一言でも「NO」が意思表示されると,たちまち逆上し,頭に血が上ぼる。要するに,非常に身勝手,わがままで,極端に恣意的な人間なのである。 ・石原慎太郎著の「NO」シリーズをつぎに紹介しよう(出版社はすべて光文社である)。 |
共 著 者 | 題 名 | 発行年 |
盛田 昭夫 | 「NO」と言える日本−新日米関係の方策− | 1989年 |
渡部 昇一・小川 知久 | それでも「NO」と言える日本−日米間の根本問題− | 1990年 |
江藤 淳 | 断固「NO」と言える日本−戦後日米関係の総括− | 1991年 |
マハティール | 「NO」と言えるアジア−対欧米への方策− | 1994年 |
一橋総合研究所 | 宣戦布告「NO」と言える日本経済−アメリカの金融奴隷からの解放− | 1998年 |
辛 淑玉流「男の採点基準」 | 石原慎太郎に対する採点 | |
@ 嫉妬心がない。 | × | ★石原知事は0点。マイナス点をつけたいくらい。彼にはユーモアがない代わりに嫉妬と傲慢と差別があり,中途半端な妥協はするくせに,潔い謝罪はしない。そして,女はみんなバカで,自分のような「男らしい」男だけがリッパだと思っている。 |
A ユーモアがある。 | × | |
B 発想が長期的で宇宙観がある。 | × | |
C よく歩く。 | × | |
D 中途半端に妥協しない。 | × | |
E なにをしても食っていける。 | × | |
F 男の考えなんてたかがしれていると思っている。 | × |
・さて,この「採点表」で満点をとれる自信のある男:♂〔女:♀〕はいますか? ・他人のことはさておき,以下に,筆者自分を〔辛めに!〕採点してみよう。 【以上,2000年9月18日
脱稿】
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・戦争中,日本鋼管〔現;NKK京浜製鉄所〕で働かせるために連れてこられた朝鮮人労働者を主に,この桜本地域に住みついた在日韓国・朝鮮人は,日本人住民の合意と協力をえながら,コリアン・タウンなる「共生的な街づくり」に励んでいる。 ・30年近くもまえに石原は,在日する韓国・朝鮮人〔および中国・台湾人〕民族集団に関する〈特定の知識〉を,小説=フィクションの素材に利用した。この事実は,本人が忘れるほど加齢してしまったのでなければ,当然いまもよく記憶しているはずである。 ・とくに「北系の第三国人部落」というくだりは,北朝鮮〔朝鮮民主主義人民共和国〕に対する反感を,みごとというか,すなおに表わした創作上の表現である。 ・川崎市桜本町は,日本〔国籍〕人と在日外国人とが混在居住している地域である。しかし,人口の絶対数でみれば,日本人のほうがよりたくさん住む地域である。それを,小説中のこととはいえ,川崎市桜本町を「○○〔第三国人=朝鮮人〕部落」と形容するのは,「誤解〔を〕招きやすい」というよりも〈誤解〉させることを意図したものだ,とうけとられて当然である。 ・石原の修辞を借りて,さらに反批判しておこう。 イ)『私はその「三国人」ということばのなかで,ずっと日本にいる韓国人や朝鮮人を指したとうけとられるわけはない』という釈明は,だから,『大嘘』なのである。 石原は従来,在日外国人,それも韓国・朝鮮人や中国・台湾人などもっぱら,アジア系の外国人を関することばであった「〔第〕三国人」を,新来の外国人〔ニューカマー,これもほとんどはアジア系を指すが〕もくわえた中身に仕立てなおして再び,「〔第〕三国人」なることばをつかったのである。
なかんずく石原は,意図的に,差別語:「〔第〕三国人」を拡大再生産させる発言をした。 ロ)「一犬虚をほえて万犬虚にほえる」という石原の文句に譬えると,自身が,その「一犬」の役目を意識的にはたしていたことになる。 ハ)
今回の「三国人」差別発言,「こういう問題〔を〕起こしてしまったのだから,これからは心して,誤解〔を〕招きやすいのだったのなら……〔今後気をつける〕」という石原の弁解も,〈真っ赤な嘘〉である。確信犯のみえすいた虚言であるから……。 ニ) 2000年4月12日,「〔第〕三国人」発言問題を弁明するため記者会見をしたときの,うろたえながらもなお,強気に気色ばんで答える石原の姿を,筆者は記憶している。 筆者のここまで分析・解説を踏まえてもらえれば,今回の差別発言事件でしめした石原の釈明の姿勢は,けっして本心からのものではなく,一貫して「嘘・偽り」であることが判明する。自身の本心を〔石原の表現でいえば〕「意識的にカット」してはいけない。 ホ) それゆえ,「私は……ずっと在日の韓国・朝鮮人の人たちの心中〔を〕察する」などと,空虚な〈いいわけ〉を口にするのは,それこそ〔もう一度,石原の表現でいえば「毎度の」〕野暮=ウソというものではないか。 ・在日する外国人は,石原の本心など簡単にみぬいていることをお忘れなく……。 【以上,2000年9月21日
脱稿】 ■「それにしても口汚い発言の多い石原慎太郎」 ・2000年9月28日の新聞報道は,国立市の市立国立第2小学校で6月,3年生の授業でアニメーションビデオが上映され,保護者から「(反自衛隊)の偏向教育ではないか」などとする指摘があった。東京都教育委員会が国立市教育委員会に対し,保護者の信頼をそこなわないよう口頭で指導していたことが27日,都議会一般質問で明らかになった。 ・石原都知事は答弁で,「国立の出来事は教育を手だてにした子どもに対するテロ,国民に対するテロとしかいいようがない」などと語った(『朝日新聞』2000年9月28日朝刊)。 ・「テロ」ということばをつかって,自分に意にそぐわないものを非難するやりかたは,尋常ではない。具体的になにをとらえて,上述の出来事を「テロ」だと解釈するのか,どうもよくわかりにくい点がある。 ・「テロリスト」もしくは「テロ」とは,「要人を暗殺する者」や,「政見の異なる相手,とくに政府の高官や反対党の首領を暗殺したりして,自己の主張をとおそうとする行為〔を是認する主張〕である」を意味する。 ・「それはテロだ」などといって,おおげさな表現をつかいむきになって,異見を有する人々を攻撃する石原の口調は,いまさらそれほど驚くべきものではない。というのは実は,石原が他者を非難・排斥するばあい頻繁に駆使してきたやりかたが,自身のテロ〔テロリスト〕的言動=ことばによる暴力行為であったからである。 ・他者→異見者にテロ的に対面することしかしらない石原慎太郎は,当然,異見者→他者との対話がまともにできない。この人物は,テロリスト的心情をとおしてほか,他者=異見者をみることができない。そういう異常心理的気質を不幸にももっている。 ・アジテーターの定評のある〔誉れ高い!〕石原が,他者をとらえていたずらに〈テロ〉だと決めつけ非難するのを聞いて,この人のオハコがまたはじまったと感じるのは,筆者1人だけでないだろう。 |
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