久慈 力 『石原慎太郎が総理大臣になったら』
(緑風出版,2000年12月15日発行)が
警告する石原慎太郎の〈とんでもない〉性。
・久慈の本書は,石原慎太郎が日本国総理大臣になったりしたら「最悪のシナリオ」
が繰りひろげられる,と警告する。本書の宣伝をするつもりはないが,くわしくはその
一読をすすめておき,ここでは簡単にその主旨を紹介しておきたい。
@ 21世紀を迎えようとするいま,大不況と失業,財政破綻,国政の混迷で,国民の
不安とフラストレーションは高まっている。この危機の突破のために国民は,政治に強
いリーダーシップを求めている。こうしたなか,石原慎太郎東京都知事の人気は最高潮
に達し,「石原総理」待望論が高まりをみせている。
A 世論調査でもいま,日本でもっとも総理大臣になってもらいたい人物ナンバー1
が石原である。
B だが,タカ派・国家主義者の石原ほど危険な人物もいない(以上,同書,表紙カ
バーより)。
C 日本国民の3分の2といわれる石原支持の多くの人々は,石原がどういう思想を
もち,どういう政策を打ち出してくるか,石原がどのような人脈にかこまれているのか,
まだ十分にその全体像をつかみ切っていないのではないか。
D 石原が国政を実際に担当し,その右寄りの偏向の政策をみて,はじめてその恐ろ
しさを体験し,支持したことを後悔するのではないか。そのとき,すでに独裁の道,戦
争の道にころげこんでいるのかもししれない(以上,同書,229頁)。
● 石原慎太郎が「ミニミニ版・ヒトラー」であることは,このホームページがほか
のページでくわしく説明しているので,このページではとくに言及しない。
● 第1次世界大戦後のドイツが,ワイマール憲法下の民主主義時代を経て,敗戦国
の不満・憤懣をナチス〔国家社会主義ドイツ労働者党〕に巧妙にすくいとられ,その後,
この地球上に甚大な惨禍をもたらしつつ,ついに破滅の道に突きすすんだことは,誰も
が歴史上の記憶として忘れていない。
● 日本の庶民はそれなのに,石原慎太郎の一見ハデなパフォーマンスにだまされて,
このイカサマな偽政治家の本性をみぬけていない。
★ 久慈は,こう指摘している。−−石原に対する有識者,評論家,政治記者のみか
たはきびしい。日本の総理大臣にしてはいけない人物として,亀井静香・野中広務につ
ぐ,ワースト第3位に石原慎太郎が挙がっている,と。
★ その理由は,つぎのようなものである(同書,229頁)。
1)「庶民の苦しみが分からない」 |
2)「国際感覚がゼロ」 |
3)「偏狭な国家主義者である」 |
4)「強引さがめだつ」 |
5)「独断性に不安」 |
6)「手法は総理としては通用しない」 |
★ 亀井にしても野中にしてもその政治手法は,江戸時代にさかのぼったようなやり
かたではないか。石原にしても大同小異だが,すこし見目・姿がカッコイイだけである。
▲ ということですが,石原慎太郎という人物を支持する日本国民のみなさん,この
男に一度,総理大臣をやらせてみますか? 上に列挙されたこの人物に関する問題性を
みたら,とても庶民の味方とは思えないんですよ。
−−石原に関する上述の人物評価は,ふだんこの人をよく観察している関係者が下し
たものである。